投稿者 : manager 投稿日時: 2015-10-07 23:09:23 (422 ヒット)

平成27年9月25日

 

意見陳述書

 

さいたま地方裁判所第6民事部合議係 御中

 

原告

 

梅雨空に「九条守れ」の女性デモ

 この句の何がいけないのか。
 三橋公民館が、この句を拒否しました。
 私はこの句の作者で、74才の主婦です。三橋公民館の俳句サークル三橋俳句会に、平成16年に入会して以来の会員です。
 俳句をはじめてから、興味、関心が広がり、物事をしっかり見るようになってきました。月一回の句会は、多くの事を学べる楽しい場となっています。
 昨年6月初旬、銀座で集団的自衛権行使容認に反対する女性だけのデモに出会いました。雨の中、若い人から老人まで、子どもをおんぶしたり、ベビーカーを押している若い母親たちもいて、みんな「平和を守れ」「九条守れ」と声をあげながら行進している姿に自分の思いが重なりとても感動しました。
 その時詠んだものが先の俳句です。
 その6月下旬、三橋俳句会がありましたので、この句を出しました。
 4年くらい前から、公民館の申出で、毎月発行される「公民館だより」に三橋俳句会で選んだ俳句がそのまま掲載されてきました。6月の句会では、先生の特選をいただき会員の選も多かった先の私の句が掲載句に選ばれました。とても嬉しく思っていました。
 ところが、公民館は、「集団的自衛権の問題で世論が二分されており、一方の意見だけを載せることはできない。また、『九条守れ』のフレーズが公民館の意見と誤解されるおそれがある。」とこの俳句の掲載を拒否してきたのです。幼い頃、戦争体験をしている私は、この70年、九条に守られて平和に暮らせてきたことをありがたく思っています。
 身近な公民館でふつうの市民が作った俳句に、それも「九条守れ」のフレーズが問題にされるとは驚きでした。まして、憲法遵守義務のある立場の公民館から、この様な理不尽なことをされるとは思いもよらないことでした。「公民館だより」に掲載する作品を決めるのは、私たち三橋俳句会です。公民館が俳句の内容に立ち入る権限はないはずで、許されることではないと思います。どう考えても納得できません。
 この一年、市民や団体の方々などと共に公民館や市教育委員会へ何度も抗議し、掲載を求めて足を運んで参りましたが、いまだに掲載を認めようとはしません。
 このままでは、うやむやにされて、また同じことが起きかねません。どうしたらよいか相談を重ねた結果、作者が原告になり提訴することができることを知りました。知識もなく、年齢のことやいろいろ不安で、決めかねていましたが、民主主義や表現の自由が踏みにじられようとしている昨今の状況を見ていると、市教育委員会や公民館が重なって見えてきました。
 やはり、理不尽なことに黙っていていいのか。自分の立場でしかできないことがあるならやるべきではないのかとの思いが強くなり、逡巡はありましたが、志は曲げたくないし、後悔もしたくないと思い提訴を決めました。勿論、はじめから同じ思いで一緒に行動してきた句友、そして我が事として取り組んでくださっている方々の心強い大きな支えがあってこそです。
 この問題が全国的に大きな関心を集めたのは、私たちの小さな声をひろいあげてくださった新聞、マスコミの力です。
 また、著名な俳人、作家、研究者の方々がそれぞれの立場から見解を表明され関わってくださったことです。こういう中でこの一年、いろいろな事をたくさん学ばせていただき、確信が深まって参りました。
 自由に物が言える。自由に表現できる。あたりまえのことが当り前にできるように。
民主主義を後退させないように。裁判をお願い申し上げます。

 以上


投稿者 : manager 投稿日時: 2015-07-08 08:54:34 (852 ヒット)

九条俳句不掲載訴訟・法律構成について

【国家賠償法規定】
第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が,その職務を行うについて,故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは,国又は地方公共団体が,これを賠償する責に任ずる。

【訴状の構成】
第1 はじめに(当事者・事案の概要・本訴訟の意義)
第2 事実経過
第3 公民館の在り方
第4 違法性(憲法21条,憲法26条,教育基本法16条,社会教育法12条,憲法23条,地方自治法244条2項・3項,公民館条例21条)
第5 損害
第6 掲載請求権
第7 その他事情 

【第3 公民館の在り方について】


1 公民館とは? → 民間施設ではなく,「社会教育施設」
→ 学習の場所として,積極的な機会提供をすることが予定
2 公民館の目的・事業 → 社会教育法22条に例示列挙
3 公民館だよりとは? 本件公民館だよりの住民解放状況など
4 公民館・公民館だよりの意味を前提に,本件違法性を検討すべき

【第4 違法性について】


1 憲法21条違反
① 市民は,公権力に表現行為を「公共の福祉」に反しない限り規制されない表現の自由がある
② 公権力によって解放された場所では,表現・集会等の自由が保障される(市民会館など)
③ 本件では,表現行為の内容に着目して従来認めていた掲載を拒否したものであり,「公共の福祉」による規制も必要最小限度の制約のみあり得るところ,本件では他人の権利を侵害する表現である等ではなく,必要最小限度の制約はあり得ない。


2 憲法26条・教育基本法16条・社会教育法12条違反
① 憲法26条1項は,国民個々が積極的に学ぶ権利をも保障
→ 公権力は,国民の自由な学習に介入することは許されないところ,学習発表につき合理的理由なく介入したことは教育を受ける権利を侵害する。
② 教育基本法16条1項は「教育は,不当な支配に服することなく・・・行われるべき」
→ 公民館及び公民館だよりを利用した,市民が句会を通じて社会教育の中で学習成果を発表することを合理的理由なく妨げたことは,不当な支配である
③ 社会教育法12条は「国及び地方公共団体は,社会教育関係団体に対し,いかなる方法によっても,不当な統制的支配を及ぼし,又はその事業に干渉を加えてはならない
→ 句会に与えられていた編集スペースに句会が選定した一句を内容を見て掲載しないことは不当な統制的支配であり,句会の事業に干渉を加えることになる


3 憲法23条違反
憲法23条は「学問の自由」を保障するところ,学問の自由には,学問研究結果を発表する自由も含まれる → 本件では発表を不当に規制


4 地方自治法244条2項・3項,条例21条違反
① 正当な理由がない限り,住民が公の施設を利用することを拒んではならない(2項)
→ 公民館事業である公民館だよりの従前利用実態あり
→ 公民館事業目的(社会教育法22条)との関係から
② 住民が公の施設を利用することについて,不当な差別的取り扱いをしてはならない(3項)
→ 他のサークルも含めて,そのまま作品を掲載しているが,本件のみ
内容を見て不掲載としたのは差別的取り扱い
→ 本件俳句以降,7月俳句・9月俳句は掲載できるとされていることから明らかに差別的取り扱い


5 正当化根拠があるか?
(1) 平成26年7月3日文書。
① 社会教育法23条1項2号の,公民館は特定の政党の利害に関する事業を行うことが禁止,
② さいたま市広告掲載基準4条「世論が大きく分かれているものの掲載をしない」


(2) 平成26年12月10日
① 上記(1)①を撤回 
② 公民館だよりは・・・公民館が責任を持って編集・発行している刊行物であり,公平中立の立場であるべきとの観点を新たな理由とした


(3) 条例9条
①公民館の目的に反するおそれ
②公の秩序又は善良な風俗を乱すおそれ
③施設等を損傷し,又は滅失するおそれ
④専ら営利を目的とした事業に公民館の名称を利用しようとするとき
⑤特定の政党の利害に関する事業を行い,又は選挙に関し特定の候補者を支持しようとするとき
⑥特定の宗教を支持し,又は特定の教派,宗派,教団を支持するとき
⑦そのほか,管理上支障があるとき,又は委員会が適当でないと認めるとき

【参考裁判例】


『会館使用不許可事件』
① 上尾市福祉会館使用不許可事件(最高裁平成8年3月15日)
(事案)労働組合幹部の合同葬に使用するための使用許可申請に対して,上尾市福祉会館設置及び管理条例の「会館の管理上支障があると認められるとき」にあたるとしてされた不許可処分が違法とされた例
(判示)・本件施設は,地方自治法244条の公の施設に当たる
→ 正当な理由ない限り,その利用を拒んではならない(2項)
・ 条例6条は正当理由を具現化したもの
・(制限解釈)「会館の管理上支障があると認められるとき」との条例は,会館の管理上支障が生ずるとの事態が,客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測される場合に初めて,本件会館の使用を許可しないことができる
※ 泉佐野の最高裁判決が取ったような,合憲限定解釈を前提にした手法ではなく,憲法を出さずに制限解釈をしている
※ 泉佐野最高裁判決
市民会館の使用不許可が問題となった事案につき,使用不許可の根拠とされた条例の「公の秩序をみだすおそれがある場合」を本件会館における集会の自由を保障することの重要性よりも,本件会館で集会が開かれることによって,人の生命,身体又は財産が侵害され,公共の安全が損なわれる危険を回避し,防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり,その危険性の程度としては,前記各大法廷判決の趣旨によれば,単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず,明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であると解するのが相当である。そう解する限り,このような規制は,他の基本的人権に対する侵害を回避し,防止するために必要かつ合理的なものとして,憲法第21条に違反するものではなく,また,地方自治法244条に違反するものでもないというべきである。

② 築城町公民館使用不許可事件(福岡地方裁判所平成元年11月30日)
(事案)町民が基地の日米共同訓練に反対する集会を企画し,一度許可を得た後に,【政治活動への使用を禁止した条例】で取消の違法性を争い,国賠請求をした事案で,15万円の慰謝料を認めた
(当事者)住民運動団体の代表個人
(制約理由)条例3条2号「特定の政党を支持し,又はこれに反対するための政治教育,その他,政治的活動に利用するとき」
(主張)ア 憲法21条違反(表現・集会の自由,事前抑制禁止法理)で条例が違憲
イ 憲法26条違反(公民館は教育を受ける権利に基づいて設置されたものとして,町は積極的に提供する義務があり,制約できるのは管理に支障が出る明白な場合に限られる)
ウ 地方自治法244条2項違反(公民館は1項の「公の施設」であり,3項で不当な差別的取扱いを禁止)
エ 社会教育法22条7号違反(公民館施設を住民の集会その他公共的利用に供することが事業目的。事業目的違反となる)
オ 使用条例違反(自由裁量ではなく,羈束裁量。特定政党の政治活動でないのに十分な調査もなく当てはめた点が違法)
(反論)・ 右翼も同じ日に貸して欲しいと申請され,「管理運営上支障があるとき」に当たる
(判示)・(制限解釈)「公民館自体が『特定の政党の利害に関する事業を行い,又は公私の選挙に関し,特定の候補者を支持すること』を禁止することはその公共性・中立性から理由のあるところ,住民が公民館を使用して行う集会について,それを上回って単に政治的活動というだけで不許可にすることは全く合理性がない。右規定は,少なくとも社会教育法23条が定める公民館の運営方針程度に限定して解釈運用されるべきである」


投稿者 : arai 投稿日時: 2015-07-03 11:37:26 (808 ヒット)

2015年6月25日、原告はさいたま市を相手どり、

1 さいたま市三橋公民館において発行する三橋公民館だよりに「梅雨空に・・・」の文書を掲載せよ

2 被告(さいたま市)は原告に200万円の損害賠償を行え

3 訴訟費用は被告が負担せよ という内容でさいたま地方裁判所に提訴しました。  

(右の訴状の画像をクリックするとPDFがダウンロードします)


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